<教えて万年筆ラクガキA01 サトウヒロシの回答02>

みなさまこんにちは!  

サトウヒロシです。前回のうなぎさんからの質問に対する回答編の後編です。
こちらが元記事です。

そして、12月21日に公開した前半の回答編はこちら。

後編はねぇ、もう大変。何が大変って難易度が高かったー。さすが中級編ですね。

それでは今回も張り切っていきましょー!


(質問04)木の質感の出し方は?

「木の質感」ね。いくつもやり方あるし、木といっても色んな種類やシチュエーションによって変わります。今回はですね、なるべくシンプルに描けるやつってことで、「木目のある木片」を描きましょうか。で、その前にまずは「木目そのものの簡単な描き方

①まずは木目っぽい適当な線を描きます。

「よぼよぼしてて途切れがちの線」で描きましょう。

②木目の線に沿ってぼかす

ぼかす向きはそんなに気にしなくて良いです。内側でも、外側でもどちらか片側にぼけていれば木目に見えます。

簡単ですね?

ではこれを立体にしましょう。「木目のある木片」です。

①木片の形の目安になるY字を描いて「面」を作ります。

この線は木片のそれぞれの面のアタリですので、途切れがちな線で描いてください。光は右上から来ることを想定しておきます。


②木目を入れます

「一番暗くなる面」と「中間くらいに明るい面」に木目を入れます。このとき、それぞれの面の木目が角で繋がっているように描くとリアリティがでます。暗くなる面は濃い目に、中間くらいに明るい面は薄めにインクを乗せます。

③木目をぼかします。

④水筆をそれぞれの面にかぶせます。

ざっくりそれぞれの面に水筆をかぶせます。気持ち、暗い面は「塗りつぶす感じ」で中間くらいに明るい面は「塗り残しがある感じ」でやるとそれぞれの面の差がハッキリします。また、元々の木目の線は残るように「手加減をしながら」水筆をのせましょう。

⑤水筆に残ったインクで上面の木目を描いて完成

一番明るい上面に「水筆に残ったインク」で木目を入れましょう。一番手前の角の部分はハイライトとして残すとある程度遠近感も出ます。

これでだいたい木片に見えるものが描けた状態ですが、もっとハッキリ立体感を出したい場合は「一番暗い面」の木目をもう一度上に重ねて、②〜④の工程を繰り返すとより立体的に重厚な木片ができあがります。

いかがでしょうか。「模様を残しながら描く」方法として、応用のきく技法ですので是非試して見てください。


続きまして、次のお題。

(5)模様のある物の描き方のコツは?

このお題を着手する前に、まゆこうなぎさんから「木彫りのネコ」の写真を再撮影して送ってもらいました。なんていうかですね、そもそもこのネコ、難しいモチーフなんです。まぁ、まずは写真をみましょう。

最初に皆様にお伝えしておきますと、、、このネコ非常に複雑な形をしてますので、「練習をするのに向いていない難しいモチーフ」です。でもね、「描きたい!」って思っちゃったんだから仕方がないですよね。そういうものです。なので描きましょう、描きましょう。

①ザックリと形をとる

今回は「写真の模写」になります。写真をみながら、輪郭のアタリとして軽くインクを置いていきます。

※捕捉
初っぱなからアレですが、実はこのお題の最初の難関はここになります。作画スキルとしては「形をとる」という技術が必要で、ようするに「パッとみたものを、それに近い形で描く」ということなんですけど、こればかりはある程度経験値の必要な技術です。ですので、今回解説では「形の取り方」については説明を入れません。「なんとなくこんな感じで描いてるんだな」というのを流して工程を眺めていただけたらそれで良いと思います。

②白抜きになる模様の部分にアタリを入れる

③白抜きの部分を避けて、ザックリとした陰影をつける

このとき、「光の位置」を少し調整する。写真では右側面からの光が強くなっているが、上(やや右上)から当たっているように描いた方が「立体感がつけやすい」ので、そこを補正して陰影を入れる。

④木彫りの凹凸に合わせてインクをのせていく

線を乗せて、凹凸ごとに「線に沿ったぼかし」で面を作ってきます。以降、これを繰り返して細かく木彫りの面を描き込んでいきます。模様部分は終盤に描き込みを入れるので、残します。

⑤黒い模様の部分にインクをのせていきます。

⑥白い模様部分にも色をのせていきます

白くのこした部分にも水筆に残っているインクで色乗せていきます。明るい面の模様は薄く、暗い面の色は濃く、といった具合に模様がのっている面の明るさに合わせて色を調節します。

⑦影をつけます

⑧最後に髭を乗せて完成

という感じでしたがいかがでしたか。
難しいですよね。そう思います。ただ、この作画工程をご覧いただいてわかるとおり、難易度があがると「絵を描く段取り」がとても大切になってくる、というのはなんとなくお伝えできたかと思います。

「白く残す部分」や髭のように「最後に書き足す部分」をどの工程で作業するのか、「基本的な陰影」を最初に捉えて細かい部分は全部「後の仕上げで調整」ということとか。

例えば、この絵だと「髭」とか黒目を先に描いてしまうとかなりの確率で失敗します。だから描き始める前に頭の中で段取りを組み上げてしまうっていうのも大切になってきますね。

あー、難しかった。というわけで、今回は以上になります。質問も遠慮無く!コメント欄やFB万年筆ラクガキ部の方まで。

ではでは、お付き合いいただきまして、ありがとうございました!


次回のテーマは「花」です。また、まゆこうなぎさんの質問をお楽しみに〜!

サトウヒロシの万年筆ラクガキ帳

万年筆画家サトウヒロシの「万年筆ラクガキ」にテーマをしぼったサイトです。 作画工程やラクガキ企画、ワークショップのご案内など本テーマに関わる色んな記事を提供します。

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